2013年より「平成の大改修」が行われました。
天台寺本堂は万治元年(1658)、仁王門はその前年の明暦3年(1657)、盛岡藩主・南部重直公によって建立されました。
岩手県内における江戸時代初期の代表的な寺院建築として、ともに国の重要文化財に指定されています。建立以来、屋根の葺(ふ)き替えなどは何度か行われてきましたが、大規模な修理は一度もありません。長い歳月を経て、礎石の沈下や木材の腐食が著しいものとなってしまいました。
そこで平成25年(2013)より保存修理工事に取り掛かりました。
工事では、仏像や仏具等を全て外へ運び出して屋根や壁や床を一旦解体し、柱の傾きを直し、使える部材は再利用してまた組み上げる作業を行いました。まさに「平成の大修理」というべき事業だったのです。
工事の過程において古い屋根葺材が見つかり、文献とも照らし合わせた結果、建立当初の本堂と仁王門の屋根は杉の板で葺かれていたことが分かりました。
耐久性などの問題から、戦後に入って本堂は銅板葺(ぶき)、仁王門は鉄板葺の屋根に変更されていましたが、文化財としての価値をより高めるためにとの文化庁からの指導もあり、天台寺では修理方針を転換し、屋根を当初の姿に復原することを決めました。
本堂はこれまでの銅板葺から、厚さ1cm程の杉板を重ねていく「とち葺」に。仁王門は鉄板葺から、厚さ3㎜程の杉板を用いる「こけら葺」へと変更されました。
そして防災設備設置も含めて工事は令和2年3月31日に無事終了し、令和2年(2020)6月21日に落慶法要を執り行いました。
建立当初の姿に戻った本堂と仁王門。
新たな100年、200年を迎えてくれることが期待されます。